エイフェックス・ツイン|チーター社の2つの電子楽器

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エイフェックス・ツインが2016年7月にニューシングルをリリースする。
トラックリストは以下
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Cheetah EP

1. CHEETAHT2 [Ld spectrum] 2. CHEETAHT7b
3. CHEETA1b ms800
4. CHEETA2 ms800
5. CIRKLON3 [Колхозная mix] 6. CIRKLON 1
7. 2X202-ST5
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このリストの中に「チーター社」の2つの電子楽器が隠されている。

告知チラシでは音楽作品なのか、音楽のプログラムなのかどちらともとれる書き方をしていたが、実際は音楽作品のリリースだった。

そしてこのトラックリストには音楽を聞く前に想像力をかきたてる「ひっかかり」がある。
これは、謎を仕掛けるマーケティングなのか、エイフェックス・ツイン流の芸術表現なのだろうか。

まず、ある楽器を使用しているというヒントが曲名にある。

3曲目のCHEETA1b ms800というトラック、曲名から各所で「最もプログラムが難しいシンセサイザー」と言われるCheetahMS800を使用しているのではと憶測されている。

一体このがシンセのなにが難解なのだろうか。

音楽専門のソフトウェア会社GFORCEのサイトにMS800に関しての項目がある

翻訳、要約すると


チーター社は1987年より楽器業界に参入し、ある程度の評価を得た後1990年代の初めに最も不思議なシンセの1つMS800を発売した。


このMS800にGFORCEのメンバーがサウンドデザイナーとして関わったという。
GFORCEのサウンドデザイナーChris Macleodは


新しい楽器を作るという断るはずのないチャンスに飛びつきました。
しかし、試作品が到着してから5時間も音を鳴らすことができず、何一つとしてヒントを見つけられませんでした。そう、私はただ座ったままでしたよ。その後数週間かけてようやくトーンやパッチを設定した後、マニュアルに落とし込みましたが、MS800はMIDIチャンネルの変更という簡単なことでさえ動脈瘤を引き起こしかねないほど難解でした。

最も奇想天外だったことは、リアルタイムでパラメータの変更内容を聴くことができなかったということです。パラメータを調整するためには「編集モード」に切り替えなくてはならず、また変更した内容を聴くには「編集モード」を終了しなければなりませんでした。全くもって不可解な編集システムを与えられ、馬鹿か?この会社は消え去るはずだと思いました。

しかし今考えると、アナログシンセの時代に戻ったかのようなパラメータ構造のおかげで音質的には面白く、アナログとのバランスに独特の魅力があることは確かです。


MS800の難解さは操作性にあることが分かった。
どのような音色かは分からなかったが、おそらくデジタルとアナログの中間的な音なのだと思う。

2つ目の電子楽器はジャケットのデザインにヒントが隠されている。
担当したのは前アルバムと同じくイギリスのデザイナーズリパブリック。

デザインの印象はどこか古めかしい感じがするが、オーソドックスでセンスがいい。往年のファンは前作につづき肩透かしの印象をうけたかもしれない。しかしこのエイフェックス・ツインの書体とCHEETAHのロゴにこそ意味がある。
先ほどのMS800のチーター社より以前に存在したもう一つのチーター社(Cheetah Marketing)から1983年に発売された合成音声のスピーチ・シンセサイザーのカセットテープがそれだ。

Cheetah Sweet Talker cassette

ebay2
ebayの出品画像を見るとアルバムデザインに似ていることに気づく、
というかCHEETAHの部分はそのままだ。
この楽器を1曲目 CHEETAHT2 [Ld spectrum]で使用しているのではないだろうか。
youtubeでエミュレーターを通した動画が確認できる。

BBC Micro Speech Synthesis


ああ、実にエイフェックス・ツインの音楽にマッチしている。

5曲目のCIRKLON3 [Колхозная mix]はyoutubeですでに発表されている。
待っていれば、いずれ答えは出るのだが、チータ社の楽器を2重に使う意味はあるのだろうか。
偶然、あるいは隠された繋がりがあるのか。エイフェックス・ツインの謎というのはいつものことだが、実に上手く興味を引きつけるタイトルになっている。

さて「チーター」社の二つの楽器はCheetah EPとして、ネットの草原を走ることができるだろうか。